飾り物展とは?
飾り物は200年以上の歴史を持つ高山独自の粋な文化です。
全国でこの例を見る地域は他には有りません。
かつては町家の表格子を外して幔幕を張り、金屏風や銀屏風を背に飾り物を披露しました。
町内各組が競い合っての、さながら大人の知恵比べのようでした。
しかし時代の移り変わりとともに格子を備えた町家も少なくなり、廃れかけた一時期商店のショーウインドウで試みた事もありましたが、平成4年からは一般公募し集中展示を行なっています。
毎年1月、その年の干支と宮中歌会始のお題をテーマに、高山市民に限って作品を募り、高山市民文化会館にて公開展示を行なっています。
飾り物の由来
天明七年(1787)、時の郡代大原正純が、陣屋稲荷の初牛祭に二十四孝の飾り物を奉納したとあるのが、文献に見られる最も古い記録で、江戸時代の中頃にはすでに恒例化していたようである。
(参考)高山市飾り物同好会編集「雅び心・遊びごころ・・・飛騨高山の飾り物」
これまでの飾り物
過去の代表的な飾り物
過去の代表的な飾り物をご紹介いたします。
●かんむり

桜の皮を巻いた棒細工の印籠と、腰に下げる根付で、祭のときにかぶる冠に見立ててある。
(テーマ「祭礼」、道具:印籠、根付)
●布袋

祭の名物屋台「布袋台」から突き出した台の上で、唐子人形が布袋の肩に乗ったり、飛び跳ねたりする。その布袋を、茶巾の上においた水差しで表している。台は水差しの箱
(道具:水差し及びその箱、茶巾)
●鳳輦(ほうれん)

高山の神輿は80人びきという大きなもので、町内の辻々には入れない。そこで神様を別の小さい乗り物に移して町内をずっと廻る。これが鳳輦である。
(道具:茶釜、茶巾、茶杓)
●太鼓

漆を濾すときに使う絞り器と桶で、太鼓を表している。ばちに見えるのは、絞ったあとの和和紙である。
(道具:絞り器、桶、和紙)
●獅子

唐獅子模様の風呂敷の上に大小二つの柳樽を置き、祭にはつきものの獅子舞と見せた。樽の大小で雌雄を表現しているところも、芸の細かいところである。※柳樽とは、角樽の高山流の呼び方
(道具:風呂敷、柳樽)
●透し塀

秋祭りの八幡神社にて、本殿を造営したのにつづいて翌年に立派な透し塀が出来た。その様子を織り機の杼で門を、糸を押える筬で塀を、糸枠で神殿を表している。
(道具:杼、筬、糸枠)
●かがり火

茶道具の茶杓を3本寄せ掛けた上に棗を置き、中に茶筅を入れて、祭のときに燃やすかがり火を表した。
(道具:茶杓、棗、茶筅)
●神社参道

男帯を折り曲げて階段を表したのは、洒落た趣向と評判だった。立てた白扇は八幡神社の幟で、盃をご神体の鏡に見立ててある。
(道具:帯、白扇、盃)
●屋台

篳篥(ヒチリキ)と見台と和とじの譜面で、祭の屋台を表した。屋根となった譜面は、天井から釣り糸で吊ってある。
(道具:篳篥、見台、譜面)
●ご祝儀

お祝いの席に出す飾り海老である。胴は、春慶塗のオシボリ入れ、ヒゲは箸で、箸置きが目になっている。
(市政20周年記念、道具:オシボリ入れ、箸、箸置き)
●年輪

角帯を巻いて3本並べ、切り株の年輪を表した。下に敷いたのは畳紙で、土の感じを出している。
(市政30周年記念、道具:角帯、畳紙)
●高山線電化促進

当時のテーマは躍進高山だった。大工道具の溝鉋で電車、曲尺で架線を支えるビームを表している。
(市政40周年記念、道具:溝鉋、曲尺)
●奉祝

天皇の即位を祝って、提灯行列が行なわれた。その提灯を、春慶塗の椀と、寄せ掛けた箸で表している。
(御大典記念、道具:椀、箸)
●百メートル競走

ゴール寸前の激闘である。琴柱はランナー。高山もバレーボールの会場となり、飾り物をして歓迎した。
(昭和40年 岐阜国体記念、道具:琴)
●新憲法発布記念

木のどっしりとした裁縫台に、白絣の反物を広げて、憲法の一巻を見せた。
(道具:裁縫台、反物)
平成4年の飾り物<申>
お題 申/風/天領300年
お題 天領300年記念
平成5年の飾り物<酉>
お題 酉/空
お題 皇太子殿下御成婚祝賀
平成6年~7年の飾り物(戌、亥)
平成6年 ◆お題 戌/波 ◆
平成7年 ◆お題 亥/歌 ◆
平成8年の飾り物(子)
お題 子/苗
お題 市制施行60周年記念
お題 日枝神社式年臨時大祭
平成9年から10年の飾り物(丑、寅)
平成9年 ◆お題 丑/姿 ◆
平成10年 ◆お題 寅/道 ◆
平成11年から17年の飾り物(卯~酉)

平成11年 ◆お題 卯/青 ◆
天位 「因幡の兎」 下出 森夫
平成12年 ◆お題 辰/時 ◆
天位 「龍」 垣内 真人


平成13年 ◆お題 巳/草 ◆
天位 「玄武」 中田 招男
平成14年 ◆お題 午/春 ◆
天位 「流鏑馬」 坂上 雅浩


平成15年 ◆お題 未/町(街)◆
天位 「高山市」 小林 利朗
平成16年 ◆お題 申/幸 ◆
天位 「猿まわし」 中田 招男


平成17年 ◆お題 酉/歩み ◆
天位 「白鳥」 坂上 雅浩
平成18年飾り物展(戌・笑み)
展示概要
- 会場 高山市民文化会館 3階講堂
- 展示期間 平成18年1月17日(火)~22日(日)
- お題 平成18年の干支「戌」、歌会始のお題「笑み」
- 全体講評
今回は、63点の出点がありました。「戌」という題は普遍的過ぎて、発想の似通ったものが多かったように思います。また、「笑み」という題は、抽象的であるため、飾りにくかったのではないかと思います。そのためか、良作が少ないように思いました。
作品
天位(該当作品なし)

地位 「安産」 粟瀬 新一(一之宮町)
道具:菰編み用の振子(デッチ)
◆発想の似通った作品が多く見かけられた中で、ユニークな発想で犬の特徴がよく表現されている作品です。
地位 「散歩」 下垣内 孝子(上川原町)
道具:独楽、紐
◆素材が新鮮であり、また色彩感覚も優れており、遊び心のある作品です。


人位 「犬ぞり」 古滝 雅之(八幡町)
道具:おしぼり置き、箸置き、箸
◆飾り方がおもしろく、良い作品です。そりの躍動感が感じられる工夫があるともっと良かったように思います。
人位 「笑い」 坂田 稔(千島町)
道具:自在鉤
◆どっしりとした自在鉤(じざいかぎ)を上手く使い、笑いがよく表現されている作品です。


(社)高山市文化協会賞 「犬垣」 倉坪 安成(上一之町)
道具:ソロバン
高山飾物同好会賞 「狛犬」 前田 千穂子(本母町)
道具:吸物茶碗


佳作 「犬ぞり」 わら細工大学校(漆垣内町)
道具:わら細工の道具
佳作 「ミニチュアダックス」 塚上 智子(石浦町)
道具:ろうそく立て


佳作 「狛犬」 八幡町町内会(八幡町)
道具:酒器
佳作 「狛犬(あ、うん)」 荒木 隆(八幡町)
道具:茶会席で使う急須


佳作 「交差点の盲導犬」 黒田 隆一(西一之色町)
道具:墨壺、差金
佳作 「狛犬」 おおした かずを(滝町)
道具:御神酒徳利、三方、杯

特別出品(高山飾物同好会)
市制70周年記念飾り物展(市制70周年)
展示概要
- 会場 高山市文化伝承館
- 展示期間 平成18年11月3日(金)~5日(日)
- テーマ 「市制70周年」
各賞

高山市市長賞
「鶴亀」 星文 達守
道具:左官道具(コテ板、コテ2ヶ)
高山市議会議長賞
「郷土(まち)の古記(古稀)」 粟瀬 新一
道具:古書籍(飛洲志)と文机


高山市教育長賞
「鶴亀」 長瀬 清栄
道具:香合の箱と香合
(社)高山市文化協会長賞
「宝船」 川村 孝一
道具:織機の道具(杼)、糸、繭


(社)商工会議所会頭賞
「鶴亀」 大新町2丁目飾物同好会
道具:水滴、筆立、筆
(社)高山市観光協会長賞
「祝 市制70周年」 玉腰 健三
道具:祝事に使用する一合升


高山飾物同好会賞
「提灯行列」 倉坪 安成
道具:携帯用皮袋入り棒秤 2ヶ
高山市制70周年記念特別賞
「祝 市制70周年」 玉腰 善十郎
道具:柄杓、柄杓立、茶入れ

特別出品(高山飾物同好会)
平成19年飾り物展(亥・月)
展示概要
- 会場 高山市民文化会館 3階講堂
- 展示期間 平成19年1月19日(金)~21日(日)
- お題 平成19年の干支「亥」、歌会始のお題「月」
- 全体講評
今回は70点の応募があり、「月」という題が作品にどう反映されるか難しさもありましたが、うまく作品に 表現でき、使用する道具も考慮される等、全体的にレベルの向上が見られました。
各賞
天位 「月に雁」 柏 繁(八幡町)

道具:お盆、おしぼり受け
見立て:お盆を月に、おしぼり受を雁に見立て、広重の名作「月に雁」を表現しました。「月に雁」は昭和24年記念切手に採用されました。
◆いかにも飾り物らしい生き生きとした飾り物です。惜しむらくは、もう少しスペースがあれば見ごたえのある作品に出来たと思います。
地位 「月と宇宙ステーション」 垣内 實(岡本町)
道具:剣玉
見立て:玉は月、剣はステーション
◆おもちゃという道具を使ってあるのに、うまく飾り付けをしてありました。欠点は、道具の品格が飾り物としてもうひとつ欲しいところです。

地位 「水面月」 山岸 和子(片野町)

道具:金杯・盆
見立て:湖水に映る月
◆単純明快にすっきりとした飾り付けでした。
人位 「アポロ月面」 玉腰善十郎(八幡町)
道具:墨つぼ
見立て:墨つぼを飛行士に見立て、月面での探査活動を現わしました。
◆同じ機能を持った新旧の道具をうまく使ってありました。

人位 「シシおどし」 都竹 滋(松之木町)

道具:屏風押、扁額受
見立て:額受に屏風押を乗せ「シシおどし」を表現。
◆着想の面白さがよかった。
(社)高山市文化協会賞 「親子」 坂田 稔(千島町)
高山飾り物同好会賞 「月の砂漠をはるばると」 天木 淑子(西之一色町)

道具:琴柱、琴爪
見立て:琴柱(象牙)をらくだに、琴爪を王子、王女に見立て、砂漠を行く様子を表現する。
佳作 「猪」 古滝 雅之(八幡町)
道具:墨つぼ、カンナ
見立て:墨つぼを猪、カンナを瓜坊

佳作 「猪突猛進」 久々野 國造(大新町)

道具:ハカリ、分銅
見立て:分銅を猪に見立て、突進を表現。
佳作 「忠臣蔵 山崎街道の場」 粟瀬 新一(一之宮町)
道具:鉈鞘、砥石鞘
見立て:鉈鞘を定九郎に、砥石鞘を與市兵衛に見立てた。

佳作 「月面着陸」 青木 茂(片野町)

道具:五徳、茶釜
見立て:初めて月に着陸した人工衛星を表現(アポロ11号 1969年7月)
佳作 「猪牙」 たじり けいこ(下之切町)
道具:木製の香立て、お香
見立て:猪牙=細長く屋根のない川舟。木製の香立てで細長い川舟をイメージ、お香を櫂にみたてました。

特別出品(高山飾物同好会)

「猪垣と瓜坊」
道具:春慶宗寛盆、おしぼり入れ、箸置
平成20年飾り物展(子・火)
展示概要
- 会場 高山市民文化会館 3階講堂
- 展示期間 平成20年1月18日(金)~20日(日)
- お題 平成20年の干支「子」、歌会始のお題「火」
- 全体講評
今回は72点の応募がありました。飾り物のコツが分からない人とだんだん分かってきた人と二極化しているように感じられます。
各賞
天位 「逆落」 柏 繁(八幡町)

道具:指物師の大工道具、鉋
見立て:倶利加羅峠の戦いの際に牛の角に松明をくくりつけて敵中に放った古事の因み鉋を火牛に見立てた。
◆アイディアが良い、飾り方もよく出来ている。
地位 「ネズミと小槌」 星文 恵美子(大新町)
道具:罫引き、カンナ
見立て:罫引きを小槌に見立て、カンナをネズミに表現
◆面取りカンナと罫引きのバランスがとても良い。

地位 「俵のネズミ」 小林 利郎(八幡町)

道具:茶道具の棗
見立て:なつめを俵に見立て袋の紐で縁起もののネズミを表現した。
◆飾り物の発想としては平凡であり、可も無く不可もなし。
人位 「手筒花火」 鳳凰台飾り物同人(大新町)
道具:三宝、神酒徳利、神酒口花
◆道具が揃っている。

人位 「ねずみ短檠」 長瀬 武司(森下町)

道具:針箱、くけ鋏
見立て:針箱を短檠に、くけ鋏をねずみの油入に見立てた
◆発想が難しく、理解できる人が少ないかも。
人位 「鵜飼舟」 久々野 國造(大新町)
道具:機織機部品
見立て:杼を舟に見立て、赤糸をががり火に表現
◆丁寧に作ってある。

高山飾物同好会賞 「子(白ねずみ)」 野道 弘(大新町)
佳作 「稲叢の火」 八幡町町内会(八幡町)
佳作 「鼠捕」 倉坪 安成(上一之町)
佳作 「窮鼠猫を噛む」 松山 勇作(片野町)
道具:竿秤の分銅
見立て:分銅の大きいのは猫、小さいのは鼠、猫に小さい鼠が噛みついているのを表現した。

佳作 「聖火台」 宇野 茂夫(片野町)
佳作 「豊穣」 粟瀬 新一(一之宮町)
道具:俵、菰などを編む時のツト
見立て:大きい方を米俵の山に見立て、小さいのをねずみに見立て、豊年万作を表現した。

佳作 「採火」 玉腰 健三(八幡町)

道具:大賜、杯
見立て:大賜を太陽に見立て、小杯を採火の道具とする。
特別出品(高山飾物同好会)
平成21年飾り物展(丑・生)
展示概要
- 会場 高山市民文化会館 3階講堂
- 展示期間 平成21年1月16日(金)~18日(日)
- お題 平成21年の干支「丑」、歌会始のお題「生」
- 全体講評
今回は71点の応募がありました。年々飾り物に対する関心が高まり、作品の見立ても向上しつつある事が伺われます。
- ※本年より、テーマ別に天位、地位、人位の各賞を贈る事となりました。
≪テーマ「丑」≫
天位 「闘牛」 長瀬 清栄(下一之町)

道具:抹茶入れ、袱紗、茶杓
見立て:抹茶入れをを牛に、袱紗をを闘牛士に、茶杓を剣に見立て闘牛を表現
◆道具の選択と見立てが良い、あまり造りすぎていない。
地位 「マタドール」 荒木 隆(八幡町)
道具:槍鉋
見立て:鉋のケースが闘牛士(マタドール)、鉋が闘牛
◆道具の選択が良い。

人位 「牛に引かれて善光寺参り」 安藤 政次(下岡本町)

道具:黒墨、墨差、鉤
見立て:墨壺を牛、墨差を布、鉤をお婆さん
◆道具の配置が良い。
佳作 「夫婦丑」 柚原 博明(松本町)
道具:鉤吊りの一部分
見立て:鉤吊りの一部を牛に見立て2頭(2個)で夫婦

佳作 「鶏口牛後」 八幡町飾物同好会(八幡町)

道具:秤の分銅
見立て:大小の分銅を牛と鶏に見立て、故事の「鶏口となるとも牛後となるなかれ」を表現
佳作 「火牛の計」 八幡町神楽会(八幡町)
道具:秤の分銅
見立て:分銅の大を源氏に、小を平家に見立て、合戦を表現

特別出品 「カルメン」 高山飾物同好会
≪テーマ「生」≫
天位 「巣立ち」 鳳凰台組飾物同人(大新町)

道具:鉄灯明皿
見立て:灯明皿を鴨の親子に見立て、ひなの巣立ちを表現
◆道具の選択と配置が良い。
地位 「育雛」 玉腰 健三(八幡町)
道具:春慶塗一式
◆親子の見立てが良い、ヒナを少なくするともっと良い。

人位 「獅子の子落し」 小林 利郎(八幡町)

道具:墨壺、木材
見立て:墨壺を獅子に、木材を断崖に見立て、故事の断崖から落とされた子獅子は自力で這い上がり生きのびる。その生き様を表現
◆苦労作、アイディアが良い。
高山飾物同好会賞 「誕生佛」 粟瀬 新一(一之宮町)
道具:鑢筒、鋸の目立鋏台
見立て:鑢筒をお釈迦様に、目立狭をお立台に誕生佛

佳作 「芽生え」 打保 三千雄(上岡本町)

道具:帛紗、茶筅
見立て:帛紗を大地に茶筅を草花の芽に見立て、「芽生え」を表現
佳作 「誕生佛」 小鳥 政人(大新町)
特別出品 「かぐや姫」 高山飾物同好会
平成22年飾り物展(寅・光)
展示概要
- 会場 高山市民文化会館 3階講堂
- 展示期間 平成22年1月15日(金)~17日(日)
- お題 平成22年の干支「寅」、歌会始のお題「光」
- 全体講評
今年の干支の寅と御題の光の出品点数が同じ、全体として良い道具を使っているものに飾り物としての高い点が得られた。
≪テーマ「寅」≫
天位 「虎の巻」 八幡鳳凰台組飾物同人(大新町2)

道具:黒卓、軸盆、軸
見立て:軸を虎の巻に見立てた
◆道具立てが良かった。
地位 「とら」 寺地 勇雄(国府町鶴巣)
道具:鉤吊の横木、五徳
◆囲炉裏の道具を使ってトラの表現が力強く、良く出ていた。

人位 「寅退治」 中川 亜紀子(下岡本町)

道具:墨、筆、墨床
見立て:墨と墨床を使って虎に、筆を槍に見立て加藤清正の虎退治を表現
◆書道道具をうまく使ってトラ退治の雰囲気が良く出ていた。
佳作 「二寅」 倉坪 安成(上一之町)
佳作 「虎、千里往って、千里還る」 小林 利郎(八幡町)
特別出品 「清正の虎退治」 高山飾物同好会
道具:茶筒、茶杓、袱紗
見立て:茶杓を槍に、茶筒と袋を清正の兜に見立てた

≪テーマ「光」≫
天位 「ひかり」 古滝 雅之

道具:機織器具
見立て:機織器具を新幹線ひかり号とレールに見立てた
◆機織器具を使って新幹線のスピード感が良く出ていた。
地位 「流れ星」 蒲 義明
道具:掛帛紗、かんざし
見立て:かんざしを流星に見立てた
◆化粧道具を使って天空の状況が良く出ていた。

人位 「天の岩屋」 打保 三千雄

道具:硯、墨
見立て:天の岩屋戸の前で日の女神天照を誘い出そうとふせた桶の上に立ってアマノウズメが神楽を舞う場面を硯と墨で見立て、「天の岩屋」の神話の一場面を表現
◆硯と墨を使って天の岩屋戸の前で踊るアマノウズメの姿が良く出ていた。
高山市飾物同好会賞 「ニュートリノ」 荒木 よしえ
道具:銀製の杯、箱
見立て:銀製の杯五個と共箱でスパーカミオカンデの中の宇宙をイメージ

佳作 「二見ヶ浦の御来光」 垣内 實
佳作 「ソーラー発電」 竹腰 秀樹
道具:謡本、扇子
見立て:謡本で屋根、扇子で太陽光発電を表現

佳作 「日時計」 箕輪 忠典

道具:丸碩、墨
見立て:丸碩と墨を使って日時計に見立てる
特別出品 「風神 雷神」 高山飾物同好会
道具:数珠箱、数珠、風呂敷
見立て:数珠を雷神の太鼓(雷鼓)、数珠箱を風神の鞴(ふいご)に見立た

平成23年飾り物展(卯・葉)
展示概要
- 会場 高山市民文化会館 3階講堂
- 展示期間 平成23年1月14日(金)~16日(日)
- お題 平成23年の干支「卯」、歌会始のお題「葉」
- 点数 73点(うち2点は飾物同好会の参考出展)
- 全体講評
「卯」 決まりきった平凡なテーマにこだわらず、変化をもたせたところが良かった。
「葉」 焦点を絞りにくかったと思うが、うまく飾ってあった。
≪テーマ「卯」≫
天位 「兎」 林 秀夫(丹生川町大谷)

道具:徳利の袴、箸置き
◆単純な飾り方で「うさぎ」の状態がよく表現されていた
地位 「ウサギとカメ」 八幡鳳凰台組飾物同人(大新町2)
道具:大福帳、水滴、硯
◆道具の統一性が保たれ、物語の状況が良く現れていた

人位 「兎と亀」 打保 三千雄(上岡本町3)

道具:墨、水杓、文鎮
◆良い道具を使用してあり、象徴的な飾り方が良かった
高山飾物同好会賞 「カチカチ山」 長瀬 博司(片野町4)
佳作 「うさぎ結び」 玉腰 健三(八幡町)
佳作 「因幡の白兎」 川尻 明(滝町)
参考出展 「因幡の兎」 高山飾り物同好会
≪テーマ「葉」≫
天位 「家紋」 古滝 文子(八幡町)

道具:春慶の丸盆、銘々皿
◆葵の紋になりがちなところを「三つ葉柏」としたところが良かった。しかし難をいえば、菓子器が葉そのものであった
地位 「五葉の松」 中田 招男(八幡町)
道具:春慶の銘々皿、箸
◆平面的で迫力がない飾り物である

人位 「常磐の松」 竹腰 秀樹(岡本町2)

道具:扇子立て、白扇
◆発想は平凡ですが、余分な手を加えてなくて良かった
佳作 「葵の紋」 三橋 恵美子(川原町)
佳作 「三つ葉葵」 星文 達守(大新町2)
佳作 「花に蝶々」 松井 直彌(大新町2)
参考出展 「花筏」 高山飾物同好会
平成24年飾り物展(辰・岸)
展示概要
- 会場 高山市民文化会館 3階講堂
- 展示期間 平成24年1月13日(金)~15日(日)
- お題 平成24年の干支「辰」、歌会始のお題「岸」
- 点数 73点(うち2点は飾物同好会の参考出展)
- 全体講評
全体的にレベルアップが見られ、大震災関連の話題もテーマに組み込んだ作品が見られた。
一方、女性の新しい参加者があって、飾り物の将来に期待が持てる。
≪テーマ「辰」≫

特別展示「辰(竜)の爪」 高山飾物同好会
道具:華籠、火焔、玉
天位 「登竜門」清水康雄(久々野町久々野)
道具:算盤、大福帳、矢立
大福帳を川にそろばんを竜門に矢立を鯉に見立てた
講評:古い立派な算盤と小さな矢立と大福帳を使い、登竜門の段階的なイメージの強調がよかった。道具の取り合わせもよかった。


地位「龍神台」八幡鳳凰台組飾物同人(大新町2)
道具:火箸(箱入り)、茶入れ
火箸をからくりの樋に、茶入れを龍神と唐子に見立てた
講評:茶道具の茶入れの仕覆のイメージが、実際の龍神台のカラクリ屋台のイメージとうまく合致した。
人位「昇り龍」山腰末宏(花里町)
道具:花つり
花つりの鎖をうまく龍に見立てたところがよかった。


佳作「独眼竜」八幡町長寿会会長(八幡町)
道具:角の根付、ずた袋
独眼流政宗をイメージ
佳作「登竜門」打保三千雄(上岡本町3)
道具:大福帳、大筆、小筆
中国黄河の険所・竜門の急流を大福帳で、その竜門に挑む魚を小筆で、関門を突破して竜になる姿を大筆で見立て、中国の故事「登竜門」を表現


佳作「ブータン」荒木隆(八幡町)
道具:織物、帯締め
織物でブータンの民族衣装の色柄等をイメージし、国のシンボルマークである辰を紅白の帯締めを使ってシンプルに表現
≪テーマ「岸」≫

特別展示「鮎釣(漁)解禁」高山飾物同好会
道具:春慶塗食器
天位「対岸へ」中井久美(馬場町2)
道具:扇面盆、ぶりぶり香合、茶筅
扇面盆を対岸に、茶筅を松の木に、ぶりぶり香合を舟に見立て、対岸へ向う
講評:扇面の敷板を岸辺に見立て、香合を船に見立てたところが良かった。


地位「岬」山下和夫(八幡町)
道具:大工道具一式
岸に舟
講評:手斧の柄の曲りが岬を表現し、船に見立てた鉋が生きていた。
人位「三保海岸」野澤竜弥(大新町2)
道具:扇面用紙、手帳、色墨
扇面用紙を波、手帳を富士、色墨を松に見立て、三保の松原の景色を表現
講評:扇面用紙を三保海岸に、手帖を富士山に、色墨を羽衣の松に見立てた道具のバランスがよかった。


高山飾物同好会賞「護岸」長瀬武司(森下町1)
道具:琴柱
琴柱をテトラポットに見立て護岸を表現
佳作「離岸、接岸」粟瀬新一(一之宮町)
道具:機織の杼、管、管棒、織布
機の杼を舟に、管を船頭に、織布を岸辺に見立て、川岸の風景とした


佳作「福島原発」小林利郎(八幡町)
道具:糸巻、機織道具
糸巻を原発、おさを岸、機織り道具を波に見立て、福島原発を表現
ぎふ清流国体記念飾り物展(ぎふ清流国体)
展示概要
- 会場 高山市民文化会館 3階講堂
- 展示期間 平成24年10月2日(火)~4日(木)
- テーマ ぎふ清流国体
- 点数 一般52点(うち4点は飾物同好会の参考出展)、ヤングチャレンジ部門31点
≪一般の部≫

特別展示「相撲」高山飾物同好会
道具:春慶箸置き、お盆
特別展示「百米走」高山飾物同好会
道具:物差し、針


特別展示「カヌー」高山飾物同好会
道具:箸箱、フォーク
特別展示「高飛び込み」高山飾物同好会
道具:春慶重箱、箸箱、箸置き


天位「女子陸上」白川文太郎(八幡町)
道具:帯と羽織紐
帯をトラックに羽織紐を選手に陸上競技を表す
講評:縞帯と羽織の紐をうまく使い、女子陸上らしい優しさと力強さを感じさせた。
地位「採火」山越文子(下之切町)
道具:銀盆、はし置、盆
国体 聖火の採火を表現
講評:単純明快に採火の模様を再現したところが良い。


人位「ハンマー投げ」八幡鳳凰台組飾り物同人(大新町2)
道具:扇子、印籠
日の丸扇子をサークル、印籠を選手、根付をハンマーに見立て
講評:印籠と共の根付をハンマーに見立て、そつなくまとめている。
佳作「ウエイトリフティング」野澤竜弥(冬頭町)
道具:お歯黒道具、笄
お歯黒壷と笄でリフティングのバーベルに見立て


佳作「アーチェリー」打保三千雄(上岡本町3)
道具:丸型の硯と小筆、丸型の墨
硯と小筆を合せ弓矢、墨を的に見立てアーチェリーを表現
佳作「平均台」玉腰健三(八幡町)
道具:木工具一式
水平器を平均台、罫引を女性選手に見立て


佳作「棒高跳び」小鳥政人(大新町2)
道具:筆掛け、筆、墨
筆掛けをバー、筆をポール、墨を人に見立て
佳作「競泳」古滝雅之(八幡町)
道具:春慶長手盆、おしぼり置
長手盆をプール、おしぼり置を泳者に見立て

≪ヤングチャレンジ部門≫

「自転車~ウイニングラン~」佐藤綾太・矢島七聖
道具:コンパス・分度器・消しゴム・のり
コンパスを人、分度器をタイヤに見立て、自転車を表現
「重量挙げ」春國立真・二村洋輝
道具:修正液、鉛筆、鉛筆削り
修正液を人に、鉛筆と鉛筆削りをバーベルに見立て


「野球」廣瀬知代・三木七優可
道具:ハンガー、洗濯バサミ
ハンガーを球場、洗濯ばさみを人に見立て、試合を表現
「柔道」小林朋未・板倉有生乃
道具:ふせん、クリップ
ふせんを畳に、クリップを人に見立て


「カヌー」高原寛・中川涼太
道具:シャープペンシルの芯とケース
シャープペンシルの芯をオール、ケースを船体に見立て
≪番外編 市内ウインドウ飾りなど≫
≪番外編 市内ウインドウ飾りなど≫

「祝 ぎふ清流国体」坂上加麗堂
「ボート」笹や休庵
道具:結界、茶杓入れの蓋、茶杓


「あん馬」八幡町飾り物同好会
道具:春慶重箱、おしぼり置
「ジャンプ」八幡町飾り物同好会
道具:茶筅、茶杓、掛け軸

「ボート競技」八幡鳳凰台組飾り物同人
道具:大工道具

新・飾り物の話
以前公開した「飾り物の手引き」を修正・追加し、高山「飾り物保存会」監修の「新・飾り物の話」を公開しました。
以下のリンクよりダウンロードしてご覧ください。
なお、以下を参考にご覧ください。また、PDF内の「しおり」をご利用ください。
この冊子は、 下記の四つのパートから構成されています。
興味あるパートについてご覧いただければと思います。
- 高山の 飾り物の考察・・・ 1
ここでは江戸からの作品を見て 次代への方向を考察します。
- 飾り物の手引き パート Ⅰ ・・・ 65
ここでは伝統の飾り物を「つくる」ときについて記します。
- 飾り物の手引き パート Ⅱ ・・・ 70
ここでは飾り物の 「観賞・評価」 する場合の 留意点ついて記します。
- 飾り物の手引き パート Ⅲ・・・ 78
ここでは飾り物の 作品の 「道具と飾り 」 について 見てみます。
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