平成25年度は9月29日に開催し、一般42名、高校生142名の応募が有りました。以下は、受賞者の一覧です。
<課題歌「月」>
天位 | 堀 甲枝 | 難産の仔牛やうやく起つを見て畜舎いづれば暁け方の月 |
地位 | 瀧上 一恵 | 穂ばらみし田の水加減する農夫月の光に影絵となりて |
人位 | 江尻 恵子 | きどり屋で皮肉屋らしき三日月に嘘をまぶした打明話 |
田村 文子 | 高熱の孫のか細き手を握り親待つ窓を月光照らす | |
選者 推薦 |
武藤 久美 | 切り取りてかるた遊びの札にせむまん丸まあるい坂の上の月 |
選者評:すっきりとした巧みな表現により、大きなまるい月が切り取られてかるたの札になったような、夢のある作品です。 | ||
尾﨑 珠子 | フクシマに微妙な距離の町に住む子らに今宵も月平らかに | |
選者評:「フクシマに微妙な距離の町」が暗示的に響いて、歌に余韻を与えている。離れ住む子への思いを月に託す、親心がすんなり伝わってくる。 | ||
[高山西高等学校] | ||
優秀賞 | 萩谷 晃広 | 風を切り月に鼓舞されひた走るツール・ド・フランスを夢に見て |
選者評:ツール・ド・フランス、大きな夢を持つ若さ溢れる歌。月に励まされ風を切って自転車を走らせる作者の姿が見える。 | ||
中飯田 怜 | 富士の山月の光に照らされて夜の湖に映る山影 | |
選者評:月の光に照らされている富士の山の映る湖。うまく情景を伝えている。 | ||
打保 美波 | 満月が私の部屋をおもてなし電気を消して月を招待 | |
選者評:月の光のおもてなしを頂いたのだから、電気を消してお迎えしましょう。情緒的な雰囲気のある歌。 | ||
入賞 | 横田 優志 | 秋晴れの日没早し名月を窓辺に眺め心静かに |
上遠野 綾祐 | ランニング夜中の空に月一つ未来に向かって夢にFIGHTING | |
中島 綾香 | 紫の雲にまぎれて浮かぶ月時間とともに輝きを増す | |
森本 和志 | 満月と稲穂を揺らす秋風に季節の移ろい感じて止まぬ | |
柚原 沙映 | 下校途中虫の音聞いて帰るとき町なみ照らす満月の光 | |
[飛騨神岡高等学校] | ||
優秀賞 | 葛谷 里央 | 素直なら「ありがとう」と言えたのに君の隣で三日月仰ぐ |
選者評:短歌の詠み方をすでに会得している作者であろう。心の動きを上手く捉えている。 | ||
川上 このか | 三日月は優しい母の目に似てて俯く癖の私をてらす | |
選者評:内向的な自分を見守ってくれている母の目は、三日月に似ている。多くを言わず心に語りかけてくる。「俯く癖の」がよい。 | ||
杉山 聖 | 天窓の額におさまる満月や未来を照らす我道しるべ | |
選者評:満月を天窓の額に嵌め込む発想がよい。この光り輝く未来をと願う作者の思いも解る。 | ||
尾上 緋奈子 | 嘘ひとつ隠しきることさえできないくらいに満月私を見つめる | |
選者評:何も彼も見透かしてしまう様な満月の光のなかで、私は何と小さいのかと自問する作者。 | ||
入賞 | 森口 成美 | 帰り道一緒に歩くお月様泣いてる私の頭をなでて |
成島 浩 | 車窓から怪しく光る月を見た明日は奇蹟が起こるかもしれない | |
森田 有紀 | 十五夜の雲でぼやけた月見上げひいばあちゃんの面影浮ぶ | |
石田 琴美 | 月を見る幼い子の目光ってる月の中にいるうさぎ探して |
<自由歌>
天位 | 青木 茂 | 米寿とはめでたきことか特攻の遺影の友は若さ溢れて |
地位 | 武藤 久美 | 制服のままで林檎を剥く友の横顔少し大人びて見ゆ |
西野 紘子 | ノー天気と子に言はれればそうかも知れぬ眠れぬ夜のありしは言ふまい | |
人位 | 片岡 和代 | 立ち止まり耳を澄ませばサワサワと水の音せり御嶽の山 |
小林 伸子 | 山峡(やまかひ)に尺玉花火の音響くこの夏の憂さ晴らすがごとく | |
打保 洋子 | 私にも泣きたい日だってあるのです水道メーターの針強く振れ | |
選者 推薦 |
後藤 滋子 | 紙のピン倒して一位となる吾のV(ブイ)サイン載るホームの新聞 |
選者評:ホームに暮らす老人のささやかな喜びが、上手く表現されています。 | ||
小林 伸子 | 山峡(やまかひ)に尺玉花火の音響くこの夏の憂さ晴らすがごとく | |
選者評:技巧に走らず簡潔に歯切れよく詠まれている。素直な詠み口に好感が持てる。 |