第34回(平成22年) 飛騨文芸祭
<入賞作品集 飛騨文藝>
<飛騨文藝・序文紹介>
飛騨文芸祭に寄せて
(社)高山市文化協会長 小鳥 幸男
昔から「文は人なり」という諺がある。
確かに文章は、その人柄ばかりか、その人の当時の体調、精神状態も語ってくれる。
文芸においても、個人の思潮を如実に物語り、その人格をうかがわせる。
同じような事が、地域社会においても、文芸に身を寄せる住民の質の高さが、その地域が持つ文化性のバロメーターとも言える。
幸い高山市文化協会主催の飛騨文芸祭は、参加する質と量において他の同種の催しと比べて決して遜色がない。
とは言うものの、人に好不調が有るように、地域においても張っている時期と、萎えている時期がある。
飛騨文芸祭はこの地域における力を計る一つの指針と受け止めて、決して間違いではないと思う。
かかる意味合いを含めて、この飛騨文芸祭が長く栄える事は、とりもなおさず、高山市の姿勢の伸暢を物語ることになり、関係各位の一層の努力発展に期待し、文芸の持つ高い精神世界の高揚を俟つ。
受賞者一覧
文芸祭賞 | - | - | |
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江夏美好賞 | - | - | |
市長賞 | 小説 | 橋本 雅 | 「確かな君と、曖昧なあたし。」 |
〃 | 小説 | 野口 喜代男 | 「蛍が飛んだ夜」 |
市議会議長賞 | 俳句 | 上田 眞穂子 | みな角を落としし鹿の寄りて来る 他 |
〃 | 短歌 | 清水 文代 | 種蒔けば芽生え花咲き実を結ぶ そのよろこびを生き甲斐として 他 |
市教育委員長賞 | 短歌 | 須代 一郎 | 征く朝の何か言いたげ母の眼よ 千人針を固く結びぬ 他 |
〃 | 児童文学 | 橋渡 香織 | 「あもうのくろめ」 |
市文化協会長賞 | 小説 | 青山 英彦 | 「分水嶺」 |
〃 | 随筆 | 上小屋 旭 | 「落花生の花」 |
〃 | 現代詩 | 坂口 比斗詩 | 「挽歌」-二つの命に- |
〃 | 現代詩 | 宮森 大輔 | 「緑の炎」 |
〃 | 短歌 | 尾崎 珠子 | 眠る間に洗濯機動き飯が炊け ラジオが鳴りてわたしを起す 他 |
〃 | 短歌 | 和田 操 | 明日はいざパリへと発たむ今宵われ 鰻を奢る日本酒そへて 他 |
〃 | 短歌 | 今井 みち | 触発の予感ありて飲み下す お茶に溶かせし互いの禁句 他 |
〃 | 短歌 | 小林 伸子 | プラハ演説を繰り返し聴くオバマ氏の 有言実行せつに願ひて 他 |
〃 | 俳句 | 斉藤 真砂子 | アアといふ埴輪の声やつくしんぼ 他 |
〃 | 俳句 | 山下 守 | 妥協とは口閉ざすこと春炬燵 他 |
〃 | 俳句 | 東濃 敬子 | 間取り図はサザエさん宅草の絮 他 |
〃 | 俳句 | 小林 高子 | それぞれの顔して笑ふ春の寄席 他 |
〃 | 俳句 | 小県 孝子 | 触れ合へば胞子煙らす土筆かな 他 |
青竜大賞 | - | - | |
青竜賞 | 現代詩 | 日下部 友香 | 「虚偽」 |
〃 | 短歌 | 森田 絵里加 | 雨降りの地面に触れる小海月の 飛び跳ねるよなタンゴのダンス 他 |
〃 | 短歌 | 平坂 真帆 | いつまでもこのメンバーでこの土地に 子供のままでいたかったなあ 他 |
〃 | 短歌 | 片岡 知紗希 | 君のこともっと知りたいと思うけど 話せない僕がもどかしい 他 |
〃 | 俳句 | 上垣 佳可 | 初嵐飛騨の山々吹き抜ける 他 |
〃 | 俳句 | 岩本 拓馬 | 慰霊碑の小さな罅なり終戦日 他 |
〃 | 俳句 | 山下 茜 | 忍び寄る源氏蛍のワルツかな 他 |
受賞作品
受賞作品の詳細については、(社)高山市文化協会までお問合せ下さい。