第32回(平成20年) 飛騨文芸祭
<入賞作品集 飛騨文藝>
<飛騨文藝・序文紹介>
ごあいさつ
高山市長 土野 守
第32回飛騨文芸祭入賞作品集「飛騨文藝」が発刊できましたことを、応募者の皆さま、並びにご協力を賜りました関係各位に心より御礼申し上げます。
今回の飛騨文芸祭には、飛騨地域内外より115点の作品の応募がありました。
そのうち高校生の皆さまから29点のご応募をいただき、飛騨高山高等学校の生徒の作品が青竜大賞に、また高山西高等学校の3名の生徒の作品が青竜賞を受賞しました。
今回も多くの若い方からの応募があった事は、活字離れと言われている昨今の世情から思うと大変喜ばしい事であると感じています。
近代より中央の文壇で活躍された瀧井孝作や江馬修らをはじめ多くの文芸作家を輩出してきた飛騨の地において、次代に向けてさらに文学的風土が醸成されて行くことと大いに期待するものです。
最後に、ご共催いただきました社団法人高山市文化協会の並々ならぬご尽力に対しまして、厚く御礼申し上げますとともに、これからの飛騨文壇の益々のご発展を祈念申し上げ挨拶といたします。
更に高きを目ざして
(社)高山市文化協会長 小鳥 幸男
今年の飛騨文芸祭応募作品は、今までにない質量共に高いレベルに有った。
さすが32回を重ねてきた歴史と実績の厚みを感じられた。
実は当協会主催の文芸祭は“飛騨文芸祭”を名乗る以前から存在した。
当時は主に高山市を中心に運営されていたものを飛騨全域に対象を広げてから、現在の飛騨゙文芸祭となり32回を数えるのであるから、当初の頃から通算すると恐らく50回を超えると考えられる。
この半世紀にも及ぶ長い時間こそが、今日の数多い優秀作品の応募を見る結果につながると思われる。
この種の催しは、全国的に、或いは全県的に行われて居り、当飛騨文芸祭の作品の質の高さは、他のそれらに比して決して遜色なく、むしろはるかに優れていると自負してもよいと思われる。
飛騨高山の文化の高揚の為に更なる開花への努力を重ねられることを切に願う。
<受賞者一覧>
文芸祭賞 | 俳句 | 澤木 正子 | アカペラの黒人霊歌夏の月 ほか |
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江夏美好賞 | 小説 | 木谷 竹四 | 「蒼き山波」 |
市長賞 | 小説 | 大下 宣子 | 「魚と春仙様」 |
〃 | 児童文学 | 橋渡 香織 | おおばば 「ルィールとひのきの大婆さま」 |
市議会議長賞 | 俳句 | 大溝 裕子 | 小茄子煮る常の二人となりてをり ほか |
〃 | 短歌 | 和田 操 | 特産の茘枝を山に盛り上げて 売り子は無愛想に負けぬと威張る ほか |
市教育委員長賞 | 俳句 | 山越 みかよ | 地球儀に娘の住む国や月朧 ほか |
〃 | 短歌 | 小林 伸子 | ナショナルも鶴丸マークも消えゆくと 退任決めし夫は呟く ほか |
市文化協会長賞 | 小説 | 床馬 田舎 | ひょうはく 「漂泊の星」 |
〃 | 小説 | 青山 英彦 | あさもや 「朝靄」 |
〃 | 小説 | 南 アキラ | ようぼう 「容貌」 |
〃 | 随筆 | 東 壽夫 | いたんど 「板殿はるか」 |
〃 | 随筆 | 三島 秀一 | 「この人は、三十三年間も」 |
〃 | 現代詩 | 後藤 順 | 「小豆人形」 |
〃 | 俳句 | 小県 孝子 | 鉄鍋に物滾らせて我鬼忌かな ほか |
〃 | 短歌 | 新田 忠一 | 古希といふまだ見ぬ湖の岸に着き 何も見えねど泳ぎ始める ほか |
青竜大賞 | 戯曲 | 橋本 雅 | 「シンデレラ症候群」 |
青竜賞 | 俳句 | 奥洞 さやか | 問題集これで使わぬ六冊目 ほか |
〃 | 俳句 | 沖野 敬祐 | 大禍時竜の七色こぞりかな ほか |
〃 | 俳句 | 長瀬 萌子 | 砂浜のにぎわう季節海の家 ほか |
受賞作品
受賞作品の詳細については、(社)高山市文化協会までお問合せ下さい。