第31回(平成19年) 飛騨文芸祭
<入賞作品集 飛騨文藝>
<飛騨文藝・序文紹介>
ごあいさつ
高山市教育長 住 敏彦
第31回飛騨文芸祭入賞作品集「飛騨文藝」が発刊できましたことを、応募者の皆様、並びにご協力を賜りました関係各位に、心よりお礼申し上げます。
この度、飛騨地域内外より155点の作品が応募されました。
また、そのうち高校生の皆さまから88点ものご応募をいただき、飛騨神岡高等学校の生徒の作品が青竜大賞、飛騨高山高等学校・高山西高等学校・飛騨神岡高等学校の生徒の作品が青竜賞を受賞しました。
今回は、若い方を中心に本当に多くの応募をいただきました。
惜しくも受賞に至らなかった作品の中にも、目を見張る力作があったと伺っています。
活字離れが進んでいるといわれる今日においても、なおこのような若い世代の意欲的な姿勢に接しますと、大変頼もしさを覚えます。
飛騨は、近代より中央文壇で活躍されました、瀧井孝作や江馬修らをはじめ、多くの文芸作家を輩出してきました。
連綿と続いてきた高山市の文学的風土が、次代に向けてさらに醸成されていくことを期待いたします。
最後に、ご共催いただきました社団法人高山市文化協会の、並々ならぬご尽力に対しまして、厚く御礼申し上げますと共に、これからの飛騨文壇の益々のご発展を祈念申し上げ、ご挨拶といたします。
飛騨の文芸よ香り高く
(社)高山市文化協会長 小鳥 幸男
当協会が主催する飛騨文芸祭は、年を追うごとに充実し、分野も微妙に変化してきた。
今回で31回を数える訳であるが、飛騨中に枠を広げる前の時代を考え合わせると、およそ半世紀の時を経過したことになる。
最近は高校生を対象とする青竜賞を設けられ、新しい若い感覚が注入されつつある。
どうか、この中から新しい若者達が文芸に興味を持つきっかけが生まれ、それが縁で文芸がライフワークとなるような芽が育ってくれれば、この企画を主催するものにとって至上の喜びである。
この一輯は、本年度数多の応募作品の中から、入賞された作品を集めてある。
入賞された人は勿論、惜しくも賞を逃した人たちも更に精進され、次なる機会は見事その栄冠を得られ、延いては香り高き高山市の文化、飛騨の文化の向上に資されんことを祈る。
<受賞者一覧>
文芸祭賞 | 随筆 | 東 壽夫 | 「ひと株のカキツバタ」 |
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江夏美好賞 | - | - | |
市長賞 | 俳句 | 澤木 正子 | 橙火親し童話の象が泣きにけり ほか |
〃 | 児童文学 | 横山 美保子 | 「昭和ネオン」 |
市議会議長賞 | 俳句 | 中島 源兆 | まめなかなと声かけらるる猫柳 ほか |
〃 | 随筆 | 上小屋 旭 | 「ひとのかほり」 |
市教育委員長賞 | 短歌 | 大下 宣子 | あの世にて兄貴と酒を呑むのだと 義弟は笑ふ嗚咽の後に ほか |
〃 | 児童文学 | 堀尾 美栄子 | 「清流にすむ鯉」 |
市文化協会長賞 | 俳句 | 斉藤 真砂子 | 木霊して山に吸わるる花火かな ほか |
〃 | 俳句 | 水口 諄子 | 郭公の声を間遠に里住まひ ほか |
〃 | 俳句 | 桐山 久枝 | 塞ぐ背をおしてくれたる春日差し ほか |
〃 | 短歌 | 和田 操 | 自閉症の花子は歩くひたすらに 「行」の如くに振り向きもせず ほか |
〃 | 短歌 | 今井 みち | 義父母と子育てめぐり諍いし 昔も有りて孫と遊びぬ ほか |
〃 | 短歌 | 小林 伸子 | 三十五年の役所仕事に悔ひはなし 勧奨退職の願ひを出しぬ ほか |
〃 | 短歌 | 西野 紘子 | きっぱりと認知症なりと医師は告ぐ 絶え間なく声を出しゐる姑に ほか |
〃 | 小説 | 大下 宣子 | ようらく 「白い瓔珞」 |
〃 | 小説 | 野口 喜代男 | 「新しい靴」 |
青竜大賞 | 短歌 | 河上 詩織 | 親指で一文字一句言葉にし 本当の気持ち絵文字で隠す ほか |
青竜賞 | 戯曲 | 橋本 雅 | 「仔猫」 |
〃 | 俳句 | 沖野 敬祐 | くもる窓好きな形に切り取って ほか |
〃 | 俳句 | 南 祥子 | 此処過ぎて見送る青葉風止まる ほか |
受賞作品
受賞作品の詳細については、(社)高山市文化協会までお問合せ下さい。