第28回(平成16年) 飛騨文芸祭

<入賞作品集 飛騨文藝>

no29

<飛騨文藝・序文紹介>

ごあいさつ

高山市教育長 森瀬 一幸

 第28回飛騨文芸祭入賞作品集「飛騨文藝」が発行できましたことを、応募者の皆様、並びにご協力いただきました関係各位に、衷心よりお礼申し上げます。

 今回も、飛騨地域をはじめ、全国の飛騨出身者の皆様から、75点もの作品が応募されました。
 また、今回は18歳未満の皆様からも、11点のご応募をいただき、その中から中学校2年生の生徒の作品が青竜大賞を受賞しました。
 活字離れが進んでいるといわれる今日において、このような若い世代の活躍は頼もしく感じられます。

 本年4月23日には、待望の新図書館「煥章館」が開館いたしました。
 この施設には、「高山市近代文学美術館」を併設し、高山にゆかりの近代文学者の活動を紹介した展示をはじめ、郷土の歴史・文化に関する書籍を配架しております。
 また、9月には(社)高山市文化協会により、企画展「和仁市太郎」展をご開催いただきました。
 さらに、来年1月には「『俳人仲間』の世界」展をご計画いただいております。
 この施設を大いにご活用いただき、飛騨地域の文芸活動が益々盛んになることを願ってやみません。

 おわりに、ご共催いただきました社団法人高山市文化協会の多大なるご尽力に深甚の敬意と感謝を申し上げ、ごあいさつといたします。

日本一の文芸祭になれ

(社)高山市文化協会長 小鳥 幸男

 飛騨文芸祭も今回で28回を数えるという。
 当初、高山市文芸祭と呼んでいたのが正確には分からないが、併せて50回ほどになると思う。
 50回といえば半世紀、この半世紀の文芸祭を振り返ってみると、長足の進歩を見たと思う。
 当初は短詩形の応募者が主力を占めていたのが、最近では原稿用紙100枚に垂(なんな)んとする小説の分野の応募が顕著になってきた。

 この傾向に反して短詩形の分野の力作が乏しい憾みが深い。
 ここで短詩形の猛奮発を望む思いを込めて次回から応募作品数を一挙に2倍の10句又は10首とし、未発表、既発表の有無を問わずということにし、この一年間の作品に限ることとした。
 既発表云々は、実のところ審査選衡段階で完全にチェックすることは非常に困難で、殆ど不可能に近いと思われる。
 そんな、こんなで次回の応募は必ずやレベルの高い作品が寄せられることが期待される。

 過去に文芸祭賞を受けた人にも、勿論応募資格はある。
 要は飛騨文芸祭は、その年の飛騨の文芸のレベルを証明するような作品が寄せられれば良いので、長編物、短詩形を問わず傑作の出現を期待して、この主の企画の中で「飛騨文芸祭」は日本一だと言われるように高まれば嬉しい。

<受賞者一覧>

文芸祭賞 小説 野口 勇 「両面宿儺」
江夏美好賞 小説 上小家 旭 「あーちゃん」
市長賞 短歌 上北 南美子

頼まれて発送したる飛騨桃の

種が富士見台にて実をつけしとぞ 他

 〃 俳句 谷口 ふさ子 龍宮を覗きし罰のいぼむしり 他
市議会議長賞 随筆 野口 喜代男 「雨の讃歌」
 〃 現代詩 諏訪 達朗 「欲望の旗」
市教育委員長賞 短歌 牛丸 博子

親しみをこめて幾度と呼びし名が

通夜の山門に掲げられいる 他

 〃 俳句 垣内 静子 ふるさとの斑の雪も消えゆけり 他
市文化協会長賞 随筆 下畑 七三 「小さな作品展」
 〃 短歌 廣田 禮子

十時間の入院なりしと記されし

姑の死亡診断書を受く 他

 〃 短歌 纐纈 昭三

真冬日のつづく朝に採りこみし

キャベツの外葉凍みて透きたり 他

 〃 俳句 清水 玉代 イヤリング重しと思ふ花疲れ 他
青竜大賞 戯曲 橋本 雅 アルプスや巖に眠る一億年 他
青竜賞 現代詩 林 典文 「仮面」
 〃 俳句 萩 真佳 「白(はく)」

受賞作品

 受賞作品の詳細については、(社)高山市文化協会までお問合せ下さい。

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