第23回(平成11年) 飛騨文芸祭

<入賞作品集 飛騨文藝>

no23

<飛騨文藝・序文紹介>

ごあいさつ

高山市教育長 森瀬 一幸

 第23回「飛騨文藝」が発刊されますことを衷心よりお祝い申し上げます。

 今日、物から心へという時代の潮流にあって、失われかけた人間性の回復と心の豊かさが感じられる地域文化の向上が求められています。
 また、市民の間では、高い生活水準を基盤としつつ、画一化した物質的な充足のみに飽き足らず、一層個性化と多様化を求める方向で、積極的に自らを主張し、自己実現を図ろうとする意欲が盛んになっています。

 幸いも豊かな自然と温かい人情に恵まれた飛騨の地で、自然環境や生活環境の中に題材を求め、魂を揺り動かされたことを自分のことばで表現して作品を創り上げてゆく文芸活動が、しっかりと子を針活発に行なわれている事は、誠にうれしい限りです。

 創作は自己表現への挑戦であり、終りなき人間性の追及行動ではないでしょうか。
 創造の喜びを得るとともに、生命のよろこびを実感できる活動にもつながると思います。

 受賞されました皆様方には、それぞれの分野において創作活動の輪を広め、その普及と向上にむけて精進されますことを期待いたします。

 最後に、主催されました(社)高山市文化協会のご苦労に深甚の敬意と感謝を申し上げ、ごあいさつといたします。

飛騨文芸の牽引役として

(社)高山市文化協会長 小鳥 幸男

 ずっと続いていた、高山市文化協会の文芸祭を衣替えして“飛騨文芸祭”と改めてから今回で23回目、この間に、この窓から飛び立った人も何人か有った。

 いくら、メカの時代だと言っても、人間の自然や、神に対するおそれは、根本的には変わらない。
 その人間本質の部分を、自己の体から、対外へ発現する手段の最たるものが文芸であろう。

 人間の持つ本能が、文字、言葉として表出され、それが読み手の感動をさそい、共鳴するとき文芸は完成する。

 飛騨文芸祭は、この種他企画と比べても、質も高く、その点でも誇りうる文芸祭と言える思う。

 今年の成果を土壌に、更に来年への飛躍の糧とされ、次回は、またひと廻り大きくなって飛騨の文芸が集まり、斯界のレベルアップの牽引役として躍動されんことを祈念する。

受賞者一覧

文芸祭賞 小説 紗衣里 友人 「冬至の日の凍人」
江夏美好賞  
市長賞 随筆 大下 宣子 「桜」
俳句 谷口 ふさ子 梅一輪のみにて候緋毛氈 他
市議会議長賞 随筆 上小家 旭 「ハルガキタカラ」
俳句 青木 つよ子 自分史の終りのはじめ終戦日 他
市教育委員長賞 小説 南 アキラ 「逆光線」
短歌 岩長 久子

リズムよく田植機の植うる空き箱を

 ためずに洗う膝まで濡らして 他

市文化協会長賞 短歌 廣田 禮子

駅長と今も呼ばれている父が

 気を張りてリハビリに階段のぼる 他

短歌 宮前 満智子

濡れタオル頭にのせて塗り変える

 牛舎の屋根を朱の色にして 他

俳句 水口 諄子 絵団扇や眠くなるまで眠るまで 他
俳句 桐山 久枝 花嫁に添ふ家毎の水仙花 他

受賞作品

 受賞作品の詳細については、(社)高山市文化協会までお問合せ下さい。

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